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家の外壁は、雨風や紫外線にさらされ、時間とともに汚れが蓄積します。自分で掃除をすることで費用を抑えられますが、道具選びや方法を間違えると外壁を傷めたり、怪我をしたりするリスクもあります。
本記事では、初心者の方が失敗しないための道具選びと掃除のポイントを徹底解説します。

外壁の素材(サイディング、モルタル、タイルなど)によって、最適なブラシの硬さや形状は大きく異なります。
外壁の表面にデリケートな塗装が施されているサイディングには、傷をつけにくい柔らかいナイロン製や馬毛混のブラシが最適です。一方、モルタルやタイルのように表面に強い凹凸がある場合は、コシのある少し硬めのブラシでないと奥に入り込んだ汚れを掻き出せません。ただし、硬すぎるデッキブラシなどは塗装(塗膜)を削り取り、壁の防水機能を低下させる原因になるため、力の入れすぎには十分注意しましょう。
ブラシの先端が細かく分かれている「先割れタイプ」は、細かな溝やサイディングの継ぎ目にも毛先が入り込みやすく、軽い力で汚れを落とせます。広い壁面を一気に洗いたい場合は、横幅のあるワイドタイプを選ぶと作業時間が大幅に短縮されます。また、ヘッドの角度が調整できるタイプなら、軒下や窓枠の縁など、死角になりやすい場所もスムーズに掃除が可能です。
外壁掃除において、最も防がなければならないのは「転落事故」です。慣れない高所作業には細心の注意を払いましょう。
2階の窓付近までの高さであれば、3m〜5m程度の伸縮ポールを活用するのが正解です。地面に両足をしっかりつけた状態で作業できるため、梯子からの落下リスクを物理的にゼロにできます。ただし、長く伸ばすほどポールの先端が重くなり操作に力が必要になるため、アルミ製などの軽量かつ剛性の高い素材を選ぶのが、疲労を抑えて安全に作業するコツです。
どうしても梯子や脚立を使用しなければならない場合は、設置場所が平坦で滑らないかを念入りに確認してください。特に雨上がりの土の上は梯子の足が沈み込みやすく、バランスを崩す原因になります。作業中は必ず二人一組になり、一人が下で梯子をしっかりと支える体制を維持しましょう。また、足元は滑りにくいゴム底の作業靴を着用し、一歩ずつ慎重に昇降することを徹底してください。
ケルヒャーなどの高圧洗浄機は非常に便利ですが、誤った使い方は家を傷める「諸刃の剣」となります。
高圧すぎる水流は、古い外壁の塗装(塗膜)を簡単に剥ぎ取ってしまいます。特に、目地のコーキング材に向けて至近距離で噴射すると、ゴム状のパーツが千切れたり、その隙間から壁の内部へ水が浸入したりするリスクがあります。壁の内部に水が入ると、断熱材の腐食やカビの原因になるため、安易な直射は厳禁です。
万が一、掃除による浸水が不安な場合や、すでに雨漏りの兆候がある方は「雨漏り修理は自分でできる?簡単応急6つの対処法」もあわせてご覧ください。
汚れを落とする際は、必ず扇状に水が広がる広角ノズルを選択してください。壁から30cm〜50cm以上の距離を保ち、汚れを斜め下へ押し流すようなイメージで、低い水圧から徐々に調整していくのが失敗しない秘訣です。
排気ガス由来の油汚れや、広範囲にわたる頑固な汚れには、電動回転ブラシや業務用ツールの導入が効果的です。
手動では何度も往復させる必要がある作業も、電動ブラシならヘッドが自動で細かく振動・回転するため、腕への負担が激減します。特に凹凸の激しいスタッコ仕上げの壁など、手作業では落としきれない細かい隙間の汚れを効率的に掻き出すのに向いています。
強力な摩擦力を持つため、一箇所に長く留まりすぎると塗装が薄くなってしまう恐れがあります。最初は目立たない軒下や壁の隅で「塗装が変色・摩耗しないか」を確認してから全体に使用しましょう。また、業務用は重さがあるため、長時間持ち上げるための筋力や取り回しの慣れも必要になります。
日光の当たらない北側の壁などに発生する緑色のコケや黒ずんだカビは、水洗いだけでは根を絶つことができず、すぐに再発してしまいます。
軽微な汚れなら薄めた中性洗剤で十分ですが、繁殖したコケには「屋外用コケ・カビ専用クリーナー」が不可欠です。これらは塩素系ではなく、植物由来の成分でコケを根絶させるものが多いため、庭木を枯らす心配を減らしながら使用できます。
重要なのは、「乾いた状態の壁に散布する」ことです。壁が濡れていると洗剤が薄まって浸透しにくくなるため、晴天が続いた乾燥した日に散布し、製品の指示に従って15分〜30分ほど「待ちの時間」を作ることで、汚れが浮き上がり、軽いブラッシングだけで驚くほど綺麗になります。
外壁の健康状態を維持するためには、大掛かりな修繕が必要になる前の「小まめな点検と清掃」が、結果として家計を助けることになります。
少なくとも年に1〜2回(梅雨明けのコケ対策や年末の大掃除など)の清掃が理想です。放置された汚れは紫外線と反応して外壁に焼き付き、落とすのが困難な「シミ」へと変化してしまいます。
DIYであれば、ブラシや洗剤などの初期投資として数千円〜3万円程度で済みます。対して、放置しすぎて塗装が完全に劣化した後の塗り替え工事は、10年〜15年おきに80万円〜150万円単位の多額の費用がかかります。日々の清掃で塗装の寿命を数年延ばすだけで、生涯の住居維持費には数百万円の差が生まれることもあるのです。
全ての掃除を自分で行おうとせず、状況に応じて専門業者の手を借りることが「失敗しない」最大のコツかもしれません。
「1階部分の洗浄」「脚立を使わずに手が届く範囲」「中性洗剤で落ちる程度の軽い汚れ」であれば、DIYで楽しみながら安価に綺麗にできます。
「2階以上の高所作業」「壁を触ると白い粉がつく(チョーキング現象)」「ヘアライン以上の深いひび割れ(クラック)がある」場合は、プロへの相談が必要です。プロは足場を組んで安全を確保した上で、壁の劣化状態に応じた適切な水圧や薬剤を使い分けます。無理に自分で作業して外壁を破壊したり、怪我をして治療費がかかったりしては本末転倒です。

傷をつけにくい「先割れ加工」のナイロンブラシ。
表面の凹凸に入り込むマイクロファイバー製やメラミンスポンジ(一部使用可)。
ケルヒャー(K2〜K5シリーズ)などが定番。静音モデルが住宅街ではおすすめ。
業務用は圧力が強すぎるため、一般の家屋では慎重に使用してください。
力を入れずに回転で汚れを落とす。通水機能付き(ホースを繋げるタイプ)だと作業効率が倍増します。
1.5mから最大5m程度まで伸びるもの。
安定感のあるワイドステップタイプ。
台所用を薄めて代用可能(一番安全)。
コケや藻の再発を防ぐ成分が入った専用品。
洗剤を広範囲にムラなく散布するために便利。

実際に触って重さや長さを確認できる。「カインズ」のオリジナルブランドなどはコスパが良く、日本住宅に合った設計が多いです。
レビューが豊富で、海外製の強力な道具も手に入る。大型商品も玄関まで配送してくれるのが最大の利点です。
伸縮ポールと手動ブラシのセット(約5,000円〜)。
エンジン式高圧洗浄機やタンク一体型洗浄機。広大な敷地の家には向いています。

換気口やエアコンの室外機に水が入らないようビニールで覆う。
洗濯物が干されていないか確認し、一言声をかける(水飛沫のトラブル防止)。
壁を触って白い粉がつく「チョーキング現象」があれば、塗装が寿命なので強くこすらない。

日本の住宅で最も普及している素材ですが、表面の複雑な凹凸や、板の継ぎ目である「横目地・縦目地」に砂埃や雨だれの跡が溜まりやすいのが特徴です。掃除の際は、板と板のつなぎ目を埋めている柔らかい「コーキング(シーリング)」を傷めないよう細心の注意を払ってください。この部分をブラシで強くこすりすぎたり、高圧洗浄を至近距離で当てたりすると、剥がれやひび割れが生じ、そこから雨水が建物内部へ侵入して、家の骨組みである木材を腐らせる深刻な原因になります。「優しく撫でるように洗う」のが、サイディングを長持ちさせる基本中の基本です。
職人による手作業の風合いが魅力ですが、その性質上、経年劣化によって「ヘアラインクラック(髪の毛ほどの細いひび割れ)」が発生しやすい素材です。ひびがある場所に強い水圧をかけると、水の勢いでひびを押し広げるだけでなく、壁の内部に大量の水分を浸透させてしまい、断熱材のカビや内部腐食を招くリスクがあります。もし壁面にひび割れを見つけたら、その箇所への散水は極力控え、水を含ませた柔らかいスポンジやブラシで周辺を軽く叩くようにして汚れを落とすに留めてください。
また、外壁にひび割れがある場合は、建物を支える土台にも影響が出ていないか「家の基礎にまさかのひび割れ!直ちに確認すべき3つのポイント」でチェックすることをおすすめします。
他の素材に比べて非常に丈夫で高級感がありますが、目地の部分から「エフロレッセンス(白華現象)」と呼ばれる白い粉状の物質が染み出してくることがあります。これはタイルの内部成分が水分とともに溶け出したもので、力任せに削るとタイル表面を傷める可能性があります。また、タイルの隙間を埋める「目地」は汚れが吸着しやすいため、細めのブラシで丁寧に書き出す根気が必要です。強酸性の洗剤はタイルを腐食させる恐れがあるため、初心者の方はまず中性洗剤で時間をかけて洗うのが、最も安全で確実な方法です。
外壁掃除の成功の秘訣は、「無理な高所作業をしないこと」と「塗装を傷めない優しい道具を選ぶこと」の2点に集約されます。まずは身近なホームセンターや通販で伸縮ポール付きのブラシを手に入れ、天気の良い日に1階部分から始めてみてください。
定期的なお手入れは、あなたの家をいつまでも美しく、健康な状態に保ってくれます。
